マインドセット 入門
AI ができないことリスト
AI コーディングツールへの期待値を正しく持つために、できること・できないことを整理します
「AI で何でも作れる」は半分ホント
AI コーディングツールは驚くほど多くのことができます。でも、万能ではありません。
期待値がずれていると、「なんで動かないんだ」「AIって使えない」という誤解に繋がります。最初に「できること」と「できないこと」を知っておくと、ずっと上手く付き合えます。
AI が得意なこと
- 定型的なコードの生成 — フォーム、CRUD、レイアウトなど
- エラーの原因特定 — エラーメッセージを貼ると、原因と修正を教えてくれる
- 既存パターンの応用 — 「この画面と同じ構成で別の画面を作って」
- ドキュメントやコメントの作成 — コードを読んで説明文を書く
- リファクタリング — 動くコードをより良い構造に書き直す
- テストの作成 — 既存の関数に対するテストコードを生成
AI が苦手なこと
1. 「何を作るか」を決めること
AI は「どう作るか」は得意ですが、「何を作るべきか」は判断できません。
# これは AI にはできない
「ユーザーが喜ぶサービスを考えて」
# これは AI にできる
「ユーザーがタスクを追加・完了・削除できる TODO アプリを作って」
要件定義は人間の仕事です。
2. 見た目のデザインセンス
AI はコードとしてのUIは作れますが、「かっこいい」「使いやすい」は主観です。
- 配色のセンス
- 余白のバランス感覚
- ユーザーの感情に寄り添った UX
デザインのたたき台は作ってもらえるけど、最終判断は自分の目で。
3. プロジェクト全体の「空気」を読むこと
AI は会話のたびにリセットされます(CLAUDE.md で緩和できるけど限界はある)。
- チームの暗黙のルール
- 「前にこの方法で失敗した」という経験
- ビジネス上の優先順位
だから CLAUDE.md に書いておくことが大事なのです。
4. 長時間の一貫した作業
AI は一度の会話で大きなシステムを作ろうとすると、途中で方針がブレたり、前半で作ったものと矛盾するコードを出したりします。
対策: 小さく区切って依頼する。一度に全部やらせない。
5. セキュリティの最終判断
AI はセキュリティのベストプラクティスを知っていますが:
- 実際のデータの流れを完全に把握しているわけではない
- 「たぶん大丈夫」なコードを自信満々に出すことがある
- 本番環境の認証・認可は必ず人間が確認すべき
6. 最新の情報
AI の知識には「学習のカットオフ日」があります。
- 昨日リリースされたライブラリのバージョン
- 今朝変わった API の仕様
- 最新のセキュリティ脆弱性
公式ドキュメントの確認は常に必要です。
上手な期待値の持ち方
| こう思うと辛い | こう思うと楽 |
|---|---|
| AI が全部やってくれる | AI は優秀なアシスタント。指示は自分が出す |
| 一発で完璧なコードが出る | 何回かのやりとりで仕上げるもの |
| エラー = AI のせい | エラー = 一緒にデバッグするチャンス |
| AI がわかっているはず | 必要な情報は毎回伝える |
「できない」を「できる」に変えるコツ
AI 単体ではできないことも、人間 + AI なら解決できることが多いです。
- デザインがイマイチ → 参考サイトの URL を渡して「これに近づけて」
- 方針がブレる → CLAUDE.md にルールを書いておく
- 最新情報が必要 → 公式ドキュメントの該当箇所を貼って「これを踏まえて」
- 大きすぎるタスク → 自分でステップに分解してから依頼する
AI は道具です。使い方を知っている人が、一番恩恵を受けます。
次のステップ
- 効果的なプロンプトの書き方 — AI への指示を上手に出すコツ
- AI ツールの許可ダイアログの読み方 — AI が何をしようとしているか理解する